No Yamanashi

先週の関東周辺の出張での出来事。

羽田空港の到着ロビーのエントランスからレンタカーのバスが迎えにきてくれた。

乗車すると運転手さんがすぐ出発するから荷物はトランクに入れなくても良いという。

私はこんなに広いバスなのに私一人しかいないからなんだな。と理解した。

運転手さんが運転席に着くと何やら無線でやり取りをしてなかなか出発しようとしない。

しばらくすると私に”他のお客様が来られるのでしばしお待ちください”と伝えてきた。

だが5分経ってもそれらしき客が現れず運転手さんも痺れを切らせて空港の中に入って確認しに行ってしまった。

それからさらに5分ほど時間が経つと運転手さんが戻ってきて

”違うレンタカーのお客様がうちのレンタカーが迎えに来ないと勘違いしていた”

ということだった。

ようやく発車であるかと思いきや突然外国籍の女性二人組がバスの前に大きな声を上げながら立ちはだかってきた。

どうやら彼女らはそのバスに乗ってレンタカーを借りることが目的のようだ。

運転手さんと彼女らの何やら初対面ではないようなやりとりを見ていると、先ほど運転手さんが空港の中まで確認しに行ったお客なんだなとわかった。

もう少しで轢かれるんじゃないかと思うぐらい思い切って飛び出してきたというぐらいあって、

バスに乗り込んできてもかなりの大声で話すし、運転手さんには空調が暑いだの私は悪くないだの言っている姿もかなり態度がでかいように感じる。

私は次に誰が乗ってくるかわからないため隅の方に座っていたのだが、その外国籍の女性二人組は私の姿を確認するなり必要以上に驚いて見せた。

どうやら誰かいるとは思わなかったようだ。

喋っている内容が英語であったが”みて!誰かいるわ!”みたいなことを言っているのがわかった。

俺は座敷わらしか。と思った。

テンションがあがっているのか何かがキマっているのかはわからない。だが初見の人の顔を見て笑うってのはどの世界でも失礼に値すると思った。

彼女たちは現時点では判別することができない”失礼な態度”の世界基準を私に考えさせ、かつ人の顔を見て楽しんでいるのか驚いた自分を楽しんでいるのか、判別することができない”失礼な態度”の世界基準の笑顔を必要以上に私に浴びせ続けている。

運転手さんも英語がかなり堪能なのは先の二人組とのやりとりで明らかなのだが、この二人組とは会話を成立させようとしないところを見ると、面倒な人たちの部類だと感じているのだろう。

まるで座敷わらしのような存在にされてしまった私もしばらくその妖怪?幽霊?という半透明な立ち位置に甘んじつつレンタカーの営業所に到着。

私が手続きを行っている隣で二人組が手続きを行っていたのだが、予約をしていると言っていたのに実はしていなかったらしく、それを何かのせいにしてまくし立て始めたようだ。

やれやれ。店員さんもかわいそうだな。と思っていると私に喋りかけてきたのだ。

英語の内容は覚えてないが、”京都には行かないのか?”と聞かれたので

No Yamanashi.

とだけ答えた。

おそらく京都に行きたいのだろう。

相手の残念そうな顔を見ると通じたと確認する事ができた。

私の心臓は高鳴っていた。

通じた。よかった。

そして通じたという達成感で今までの事が全部どうでもよくなった。

私にとってはその瞬間は世界で一番嬉しい出来事だった。

気分が高揚した私は取引先に行く道中で先の出来事を思い出し”俺もそろそろ本気出していろんな奴らを全員見返してやろうかな”と真面目に思うほど達成感を感じていた。

たかが”No Yamanashi”だけで浮かれている私は、テンションがあがっているのか何かがキマっているのか判別することができない世界基準の笑顔を一人でレンタカーのフロントガラスに浴びせていた。

こんなのがバスの後ろにいたら確かに座敷わらしであるという自覚がある。

あの二人組の笑顔は妖怪や幽霊を見る目線においては世界基準において失礼に値しない笑顔であったと言える。

それだけに自分の存在感の薄さを痛感する今日この頃。

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